10年前の今日、初めての文庫「ご主人様にはナイショ」が発売になりました。
初めて自分の本を本屋さんで見たときの感動は今もよく覚えています。
どきどきしながら見に行くと、新刊コーナーの平台に積んでありました。
ぼーっと眺めていたら、私の隣に来た女性が同時発売の別の作家さんの本を迷わず二冊選んでレジに向かったことまでよく覚えています(笑)
「待って、私の本も、せめてあらすじだけでも見てみて…!」と心の中で訴えかけたのですが、そのかたは会計を終えると振り返ることなくお店から出て行ってしまいました。
そのとき、私のような無名の新人の本を手にとってもらうのは大変なことなんだなとしみじみ実感しました。
この10年、振り返ってみると、最初の五年はすごく長く感じて、あとの五年はあっというまに過ぎていった気がします。
実を言うと、2009年に五冊目が出るまでは、次の予定がまったく入っていなかったのですよ。なので毎回「これが最後の本になるかもしれない」と思いながら書いていました。
その後、ありがたいことに先の予定をいただけるようになったのですが、自分のペースがつかめなくてキャパシティ以上に詰め込んでしまったり、そのせいで多くの方々にご迷惑をおかけしてしまったり……いろいろ失敗を重ねてしまいました。
二年ほど前、もう書けないかもしれないと思ったこともあったのですが、予定を調整していただいてなんとか戻ってくることができました。
新人の頃、自分の作風はBLの王道だと思っていました。
が、やがて自分の作品がBL界のメインストリームにはほど遠いことに気づき……
これは本当に悩みました。読者さんのニーズに合ったものが書けない。そもそも読者さんのニーズがよくわからない。
相談した編集さんに、流行の設定を勧められたこともありました。実際チャレンジしてみたこともあったのですが、どうしても書けなくて挫折。
さんざん悩み抜いた結果、需要がある限りは自分の好きな路線を貫こうと腹をくくりました。
今でもそれでよかったのかどうか、正直自信がありません。
けどまあ、以前よりは肩の力を抜いて楽しめているように思います。
こうして10年目を迎えることができたのは、本当に読者の皆さまのおかげです。
たくさんの本の中から選んで読んでくださって、本当にありがとう。
今もまだ本屋さんで私の本を買っているお客さんを見たことがないのですが(笑)、新刊が発売になると「今夜あたり誰かが読んでくれてるかな?」と想像しています。
いっとき現実を忘れて、楽しい時間を過ごしてくださることを願いつつ。
2015年04月13日
2005年4月13日
posted by 神香うらら at 00:00| 雑記